Yasunori HAYASHI

林 康紀

Graduate School of Medicine Kyoto University

NMDA受容体依存性LTPの制御のための光プローブの作成

記憶現象を解明するのにこれまで脳組織破壊、薬物投与、遺伝子改変などが行われてきた。しかしこれらの方法は、可逆性や細胞特異性などに問題があった。そこで光感受性チャネルを用いるものが最近急速に展開している。細胞全体を抑制してしまうため、記憶を起こしているシナプスと無関係なシナプスまで抑制してしまう。
 そこで我々は、これまでの我々のLTP研究に基づき、その原理を用いたLTP解除方法を開発する。基盤研究Aでサポートされてきた研究でLTPを起こしたシナプスではアクチンが重合しシナプスの大きさが拡大することを示してきた。この時コフィリンが高密度でアクチン線維上に結合する。コフィリンはアクチンを脱重合させる機能がよく知られているが、条件によっては寧ろ安定化することがしられており、おそらくその作用が現れていると考えられた。そこでコフィリンを何らかの形で不活化することができればLTPを解除できるのではないかという発想に至った。この目的のため、我々はchromophore-assisted light inactivation (CALI)を用い、光にてコフィリンを不活化することを試みる。これまでLTPを抑制する方法は有ったが、一旦LTPが成立したシナプスをその他のシナプスに影響を与える事無く解消する事は出来なかったため、学習記憶研究の新たなアプローチとなると期待される。

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